青稲の妻沼。

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風が吹く。

心地よい風が青稲の海にさざ波を起こす。

 

タイフォンを鳴らし一両きりのディーゼルカーは軽やかなジョイント音を奏で、

滑るように流れてゆく。

 

かつて、熊谷から小泉まで中島飛行機等の物資運搬用に計画され、利根川に橋脚の足場を残し

終戦を迎え、結局妻沼までの盲腸線になってしまった。

 

その後、何度かまことしやかに線路復活の話題が地元新聞に載ったが実現することなく今に至る。

 

 

熊谷駅で秩父線のホームに居候して片道10キロちょっとの行ったり来たり。

妻沼では利根川の土手に阻まれ・・・。

それでもディーゼルエンジンの匂いが小さい旅の旅情をそそる。

 

 

 

そういえば、当時妻沼から通う高校の友達から聞いた話。

大水のあと何かのはずみで突然利根川に大きな水柱が上がることがあるって。

戦時中の米軍の不発弾が今でもあって、そんなタイミングで爆発することがあるそうな。

 

 

 

南海の青い海青い空、艦砲射撃の残り煙の黑やグレーが残像になる。

あんな綺麗なところで戦争したんだ。

後から来たものは解釈が先に立つからね。

 

平和な青稲の海でいなけりゃ。

 

 

 

 

 

1981年8月       東武妻沼線    大幡~妻沼。

 

 

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