荒川鉄橋を渡る。

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今や電化となった川越線。

 

あの頃は貨物もありキハ30などが活躍していた。

 

 

 

親父が健在の頃、釣りに何度か来た場所だ。

入院末期の頃、薬の副作用で意識が朦朧とする中ベッドの上でリールを巻き上げる所作をしていたとお袋が話してくれた。

元気じゃない親父を見るのが嫌で、あまり病院へは行かなかった自分。

 

 

 

なんでもない色々なところに想い出が散在している。

取り止めも無いことが懐かしくも切なく甦る。

 

 

小学校1年の時に引っ越した場所は川越線がサイドビューで見ることが出来る大好きな場所だった。

そして家の隣でひとり職人仕事を黙々とする親父が大好きだった。

 

 

天国で機械を回して時たま釣りをしているのかな・・・。

 

 

 

1981年2月               川越線   南古谷~指扇。

里山の春。

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昼下がり。

 

持ってきたお弁当を春風に吹かれながら頂く。

水筒のお茶は冷たくなり季節を感じる。

 

散り行く山の桜の花びらが時々背中で舞う。

ミツバチの羽音も忙しそうに。

 

かえるが鳴き出した。

季節が廻ってゆく・・・。

 

 

 

2013年4月15日                          八高線   竹沢~折原。

 

萌黄の秩父路。

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高みに立つと、鳥の声が思いのほか大きな音で谷に響き渡る。

風が渡ると梢のすれるキィキィという音も混ざり賑やかだ。

 

遠く風に乗って線路を跨ぐジョイント音も結構な大きさで聞こえる。

 

陽炎が立つ地に列車が通り過ぎる。

 

 

 

2013年4月13日           秩父鉄道   長瀞~野上。

秩父のデキが戻ってきた。

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3月の中旬からの三ヶ尻セメント工場の定期点検が終わり、デキたちも元気に本線に戻ってきた。

 

霜注意報が出た秩父の地。

季節が少し戻ったかのような朝だったが次第に気温も上がり

列車が来る頃には、ファインダーで覗くと陽炎がはっきりわかる。

 

赤デキが空の鉱石列車を武甲山の麓へ運んでゆく。

がんばれデキ。

 

 

2013年4月13日               秩父鉄道   長瀞~野上。

 

栃本の夕景。

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一里観音を頼りに遠く甲州や信州に旅立つ人、観音様のご加護で無事この栃元にたどり着いた人。

交錯する人々に関所の番人はどんな言葉を掛けたのだろう。

型どおりの手形改めだけではなかったらうれしいのだけれど。

 

夕暮れ間近、一人の老人が下の畑から上がってきた。

手には仕事の跡の泥が少し・・・。

 

「こんにちはお疲れ様です」

「はい こんにちは」

 

なぜかとてもうれしくなった。

今宵標高1000メートルの栃本広場で一献傾けよう。

暗くなり始めたつづら折の道をハンドルを捌き。

 

 

2013年4月4日                          秩父市旧大滝村栃本。