一里観音を頼りに遠く甲州や信州に旅立つ人、観音様のご加護で無事この栃元にたどり着いた人。
交錯する人々に関所の番人はどんな言葉を掛けたのだろう。
型どおりの手形改めだけではなかったらうれしいのだけれど。
夕暮れ間近、一人の老人が下の畑から上がってきた。
手には仕事の跡の泥が少し・・・。
「こんにちはお疲れ様です」
「はい こんにちは」
なぜかとてもうれしくなった。
今宵標高1000メートルの栃本広場で一献傾けよう。
暗くなり始めたつづら折の道をハンドルを捌き。
2013年4月4日 秩父市旧大滝村栃本。