さっき北海道から電話。
あの頃、ひたすらに、あの地を目指していた。
憧れ、それ以上の何かがあった。
忘れえぬ大切な時間。
今でもこの季節が来ると、止めども無く、慟哭にも似た想いや念想があたまと胸に鐘を鳴らす。
電話を貰わなかったらよかったかも。
しばれる体を温めることもできゃしない。
雪にかき消された床下の線路の継ぎ目のジョイント音が、今、胸の中でコロコロと運んでゆく。
遠い北の大地に。
おーい、おーい、おーいっ・・・。
北へ向かう列車のデッキ。 (ペンタ6×7・トライX・1984年1月)