大宮駅の夜。

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師走にはもう少し時間がある頃。

 

この夜は自分ひとり。

たまに酔っ払いのおじさんが何事かと近くまで来ることはあっても、一瞥されてただそれっきり。

電車を待ってる少女のスカートの長さが時代をものがたる。

 

 

良い夜だったな。

静かで。

駅のアナウンスが今にも聞こえてきそう。

 

 

1978年12月       大宮駅。

 

東北ローカル。

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宇都宮から北の東北線を当時「ローカル」と呼んでいた。

 

雑客が無くなってからの訪問だった。

 

蒲須坂の鉄橋・・・。

どうも利根川水系と違い那珂川水系には縁が無かったようで

ピンとこない鉄橋だった。

 

 

1978年10月     蒲須坂~片岡。

 

白い服の少年。

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よく見ると白い上着で半ズボンの少年がデッキから身を乗り出している。

 

東北線の普通列車から客車が無くなる頃。

たぶん彼も鉄道ファンだったのだろう。

 

すれ違いざまに顔を見た気もするのだけれど、それは思い出せない。

 

まだ彼は鉄道ファンだろうか。

たとえ止めてしまっていたとしても、デッキに乗ったことは覚えているに違いない。

 

大宮駅でカメラを構えていた、ちょっと上のお兄さんは、今年、鉄道ファンに帰ってきたよ。

 

誰だかわからないが

「こんにちは」「元気かい」。

 

 

1978年10月      大宮駅。

 

上野駅ツーショット。

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ダイヤ改正前の一時、よく上野駅に行った。

 

あの頃の特急は正真正銘まさに花形だった。

 

高校生になったあの頃、デートの待ち合わせは駅のホーム。

「7番線の赤羽寄りのベンチで・・・」

「・・・・・」

せっかくエナメルの靴に鋲を打って、髪形も決めて、櫛まで胸ポケットに忍ばせていったのに・・・。

まぁフラれて、結局電車の写真を撮りに行っただけ。そんなこともあったっけ。

 

 

1978年9月    上野駅。

 

ボンネットの証。

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上野駅では手作業によるヘッドマークやサボの交換が毎日忙しく行われていた。

 

無造作に置かれている「やまばと」。

まさにボンネットの「看板」そのもの。

 

 

昨今の駅構内撮影における、一部のファンによる罵声などまったく無い長閑な時代。

時代が変わったとはいえ、当たり前すら変わってしまってよいものかと思う。

 

つまり撮らせて頂いているわけで、ファンのために列車はあるわけではない。

列車は乗る人の為にあるのが第一であって、それを撮る者は、ある意味、傍観者である。

 

小さい頃、列車に向かって手を振ったあの頃の想いが、鉄道写真の原点であること

忘れたくない。

 

 

1978年9月         上野駅。

 

ゆうづるはちょこっと北へ。

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寝台特急華やかし頃。

上野口へ着く車両は尾久では捌き切れず、そのうち何編成かは上野から東大宮へと疎開させられていた。

ハチマルの牽くゆうづるもその内のひとつ。

 

近くの100円ラーメン。そう酋長ラーメン。いまでもあるのかなぁ。

 

 

1978年7月      大宮~東大宮。

 

宮浜、春はあけぼの上りゆく。

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朝陽が当たり菜の花の向こうにブルーのラインが右から左へ。

 

越後路から帰った後も、春の日差しが此処宮浜にも射していた。

 

中学最後の春休み。

期待と不安・・・あんまり感じなかったなぁ。

間もなく2321レでゴハチの牽く雑客での通学が始まろうとしている。

 

 

1978年3月    東大宮~蓮田。

 

田んぼを横目に築堤を駆け上がる。

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田んぼにはたくさんのはんの木が並んでいる。

 

遠くから新鋭183の1000番台の「とき」がやってきた。

窓から見える景色は、各駅停車だろうと特急、急行だろうと一緒。

 

東京へ出張だろうか、新生活に向かう新人もしくは学生かも・・・。

 

故郷の春の景色を忘れないで。

はんの木も手を振って見送っているよ。

 

お盆になったらかえっておいで。

 

 

1978年3月     押切~見附。

 

やっぱり「とき」が大好き。

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クリームにエンジの衣装、銀のスカートを穿き、赤のスカーフを巻いて颯爽と駆け抜ける彼女!。

恋焦がれる想いは今も昔も変わらない。

 

 

 

昔好きになった人。

 

僕の一人旅の北の大地に颯爽と現れた君。

そう、同じく一人旅で北を目指した君。

 

出会いは偶然で、たった3日間の思い出だけど、あの朝、美幌駅で「おおとり」から降りるあなたを見送ったまだ若く何も分からなかった男は、列車のドアが閉まると、顔をゆがめた。

 

一年後、青森の青函連絡船待合室であなたを見た。

函館に着き同じ「北斗」の同じ車両。

 

結局何も話せず北の大地に旅立っていった君。

 

 

君から教えられたものは「飄々と漂うこと」。

そして、ウォークマンのイヤホンを方耳ずつあてて聞いた、あのメロディ。

 

  懐かしいよon the radio

  流れるメロディ

  思い出すよon the radio

    あの日の二人・・・・・・・・・。

 

 

 

1978年3月       押切~見附。