冬の毛渡沢。

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木製、プラスチック、アルミ。カンジキの種類です。

状況により使い分けしています。

登行が少ないのなら、断然木製。

それも、木の太さがしっかりしているもの。ある意味かっこいいんだな。

 

冬山をやっていると装備には事欠きません。

何よりも安全第一。

 

冬も野宿が楽しくなります。

 

 

2010年1月26日                   土樽~越後中里。

 

雪晴れの午後。

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岩原のカーブを望む。

 

午後になり、少し湿度が上がってきた。

やっぱり天気には逆らえません。

 

平標、仙ノ倉、万太郎、茂倉。朝日、白毛門。巻機、中ノ岳、駒、八海。

眼で追っているとそれだけでも飽きません。

 

 

2009年1月27日                 岩原スキー場前~越後中里。

 

夜の底と蒼き光跡。

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夜の河。

 

音も無く、綿帽子をすり抜け、限りなく透明な川の水が、ひとところに止まっているかのよう。

かろうじて、秋の落ち葉の色を川底に残し。

 

鉄橋を渡る汽車の窓から、一瞬、視線が止まる。

 

それでも、水は流れの中で動いている。

胎動が如く。

 

 

2009年1月26日                越後中里~土樽。

 

残光。

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国境を小さな電車が駆け下りてきた。

今日最後の陽を浴びて。

 

親戚の人に連れて来てもらって初めてスキーをしたのが岩原。

家族でわらび採りに来たのが岩原。

彼女を連れてギンレイ体育館の脇の白樺の木をバックに写真を撮ったのが岩原。

181系「とき」の疾走する様を見送ったのが岩原。

 

子供たちをキャンプに連れてきたのが岩原。

 

 

時代が移り今日も此処に立っている。

眼を閉じるとありありと残光のように甦る懐かしい日々。

どうかその陽が消えませんように。

 

今日もスキー場の駐車場で野宿としゃれ込もう。

今日の一杯はまた格別だね。

 

 

2010年1月19日                  越後中里~岩原スキー場前。

 

朝陽が昇り。

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山際から昇った朝陽がようやく差し込む。

 

天気予報ははずれ朝は良い天気になった。

遠いところへもってきて雪に列車の音が吸い込まれ

すべるように列車は行く。

 

足踏みしながら列車を待つ。

気持ちの良い朝だ。

 

 

2009年1月13日                  越後湯沢~石打。

 

冬のデッキに・・・。

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さっき北海道から電話。

 

 

あの頃、ひたすらに、あの地を目指していた。

憧れ、それ以上の何かがあった。

忘れえぬ大切な時間。

今でもこの季節が来ると、止めども無く、慟哭にも似た想いや念想があたまと胸に鐘を鳴らす。

 

電話を貰わなかったらよかったかも。

しばれる体を温めることもできゃしない。

 

 

雪にかき消された床下の線路の継ぎ目のジョイント音が、今、胸の中でコロコロと運んでゆく。

遠い北の大地に。

 

 

おーい、おーい、おーいっ・・・。

 

 

                  北へ向かう列車のデッキ。 (ペンタ6×7・トライX・1984年1月)

 

ゆうべの雪のあとは。

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湧き水の流れ込む田んぼの一角。

 

それでも雪はやがて根雪になり、すべてを覆い隠す。

来年の春まで田んぼの神様はじっとしその日を待っている。

春を夢見て長い眠りに着くのだろう。

 

モーターの音は雪にかき消されて、静かに静かに・・・。

 

 

2009年12月29日               越後湯沢~石打。

 

棚田に暮れの陽。

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暮れなずむ。

 

残雪の頃。田植えの頃。緑のじゅうたん、山が蒼く輝く頃。黄金色の頃。

 

 

風が吹いていたよ。

田起こしの土のにおいを嗅ぎ、草いきれの炎天下に汗を流し、やがて、枯れた草のにおいは

何度かの冷たい雨に土に返る。

 

 

今は、冬の僅かなにおいを、こうして感じている。

起立して、眼を閉じて。

 

 

2009年12月28日          上越国際スキー場前~塩沢。

 

モロの想い出。

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モロとは「とき」に使われていたグリーン車。

 

親父と乗ったグリーン車。

長岡から大宮まで法事か何かの帰りに二人で乗った。

「ひろ、グリーン車に乗ったこと無いだろう 乗るか?」

「うん!」

シートの柄は違うし、リクライニングも。足置きだって着いている。

豪華じゃん。

 

夕方の長岡駅に「とき」が滑り込む。

3月のその頃は日の入りも早い。それでも窓際に座らせてもらい窓の外は間もなく暗くなる。

時々すれ違う列車や駅の灯り。遠くにぼんやり浮かぶ街の灯。

 

親父は疲れたのか途中からいびきをかき始めた。

「かっこわるいなぁ・・・」

トイレに行くとき親父の脚を跨ぎ通路に出る。

薄暗い蛍光灯の照明のもと、モーター音の響くデッキのトイレの戸をガチャンと開ける。

 

帰ってくるとやっぱりいびきをかいている。

くたびれたのだろう。顔をのぞき込み、そおっと脚を跨ぎ席に着く。

 

外は、また漆黒の闇。

 

 

親父が亡くなってずいぶん経つ。

今、自分が父親になって、いびきをかく。

息子や娘は、「かっこわるいなぁ」と思っているのかなあ。

 

あのときの寝顔を忘れないでいてくれるかなぁ。

 

 

2009年12月16日              六日町~塩沢。

 

特急、越後路を下る。

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もうすぐ雪に変わろうか。

冬の時雨時。

 

特急が下ってゆく。

まるであの頃と同じように。

 

エンジとクリームの余韻は、軽やかなモーター音と車輪の響きを残して通り過ぎる。

 

 

2009年12月16日               石打~大沢。