石打駅でバルブを終え、少し待合室で寝た後、一番電車に乗って中里へ。
それでも、石打から中里までの僅かな間、眠りをむさぼる。
駅前に立つと案の定まだ寝不足ではあるけれど、凛とした空気に触れ、一気に元気になる。
鉄橋へ向けて、まだ閑散とする駅前の坂を下りて左に曲がると、朝陽が正面から射してくる。
「良い天気だ」。
橋の上から眺める鉄橋の下、魚野川の河原には名残の雪。
「きらきらだ」。
太陽が上がってくると土の匂いと川の風が混じりあう。
「あぁ気持ち良い」。
昨日の夜見たEF16の12番が下ってきた。
昨日の疲れを微塵も見せずに国境を駆け下ってきた。
心なしかモーター音は春の日差しを浴びてか、軽やかに聞こえる。
上野に向かう一番の「とき」が上ってゆく。
車窓から、残雪の山、きらきらと輝く川。
もうすぐ長いトンネルを抜けるよ。
1979年3月 越後中里~土樽。