新幹線工事の本格化した宇都宮。
新幹線が出来たら在来線がどういう状況になるのか・・・。
漠然とした思いがあっても、実感は無かった。
機関車は牽引する客車や貨車が無ければ意味を成さない。
たとえ機関車自体の寿命がまだまだであったとしても、それらが無くなれば解体されてゆくだけ。
車齢が尽きてお陀仏なのか
新生機関車登場相成ってお陀仏なのか。
どっちでもなくお陀仏。
考えてみると新幹線って残酷なものかもしれない。
一部の人々の高速移動のための乗り物。
そんなに早く移動することが本当に必要なのか。
在来線はどうなった。
其処に住まう人々は本当に便利に快適になったか。
新幹線の車窓から眺める景色は一瞬過ぎやしないか。
軒先の洗濯物がゆれるのも、小道に遊ぶ子供らも、工場の昼休みに憩う作業服の彼らも・・・。
ほんとうにあっという間に過ぎてしまう。
新幹線の高架下には在来線が陽を浴びずかろうじて生きている。
歩廊は寒いんだよね。
1980年5月 宇都宮駅。