淡い日差しが夕闇に向かうまでの間の時間をわからなくする。
かえってそのほうが心地好い時もある。
今日は久しぶりに野宿だ、いつもの原信に行って少し買い出し。
夜な夜なウイスキーのボトルが軽くなった。
2022年9月15日 只見線。
淡い日差しが夕闇に向かうまでの間の時間をわからなくする。
かえってそのほうが心地好い時もある。
今日は久しぶりに野宿だ、いつもの原信に行って少し買い出し。
夜な夜なウイスキーのボトルが軽くなった。
2022年9月15日 只見線。
畔脇にカメラを据え、列車が来るまで少し離れた車の傍らで一服。
遠くから農作業の軽トラが近づいてくる。すれ違いが出来るように気を使って車を停めているので大丈夫だと思うが手を上げて合図をする。
「すみません、お世話になります」
窓を開けた軽トラの運転室から聞こえる懐かしい訛り言葉。
それまで雲にさえぎられていた、きいいろの景色に陽が差し込んだ。
2022年9月15日 只見線。
雪に押しつぶされたガードレール。必要とされなくなった此の路。
あるときはザクザクと雪の上を、あるときは夏の虫の音を聞き・・行き来した。
上り列車のバルブ撮影に向かった路。
そういえば冬の駅。
改札の脇は風が通るんだよね。
待合室のストーブの周りには民宿に泊まれないほどに溢れたスキー客が一晩中あふれてたむろしている。4時過ぎに夜行の撮影が終わりそんな待合室に戻ると、すきま風の一角しか残っていなかった。まさにこのシャッターの下がその時の寝床。
上り一番のホームが閉鎖された今。
レールがはがされ枕木だけが残っている。
団体改札が開くことは無いのか。
新幹線ありきのご時世・・・。
此処、石打や中里の再生は無いのだろうか。改めて首都圏や高崎あたりから「何とか銀嶺」でも走らせてみたいものだ。
高いんだよね、とにかく高いんだよね・・・気軽にスキーに来たくたって、来れないんだよ。
あの頃のスキーに向かう普通電車ですらのすし詰めが良いとは言わないが色々価格やサービスを含めたスキー列車を模索しても良いのに。新幹線→特急→急行→快速→各駅停車そして夜行列車も・・・ありなんじゃないかな。
誰が考えたのかくだらない「思い出の何とか列車」じゃなくてせめて定期列車とは言わずとも季節列車であそこに行くんだったらあの列車だよみたいになれば面白いのに。それが好評なら定期列車に格上げなんてゆうのもありだし。但し高いだけの列車じゃなくてね。
鉄道会社や自治体、スキー場なんかで知恵を出し合えば、まずはスキーシーズンを始めにいずれオールシーズン的な地域活性も出来そうな気がするが・・。夏の合宿や川遊びそして釣りやハイキングにも良いところなんだけどね。
乗客が求めるものは、嫌な言い方だけど上から下もあるんじゃないかな。今の世の中、旅行サイトだって目的に応じてもろもろ宿泊先は探せるし更に飛行機や新幹線のパッケージはあっても選択肢たる極々普通の在来線で行く列車が無いような気がする。かつての駅からレンタサイクルや電動バイクなんかで地域をめぐっても面白いんじゃないかな・・。
今のままじゃ在来線の再生は望めないような気がする。
乗りたくても使えないから、乗らないから減車減便の悪循環の繰り返しのような気がする。少なからず当時の上越線にはたくさんの選択肢があったように思う。
現実問題、地域の高齢化も進み一長一短でいかないことはあるけど石打駅に行って昔の賑わいを想い出してみたりして・・・・。
もう一度・・もう一度・・・。
2022年9月15日 石打駅。
ディーゼルに牽かれた混合列車を降りたのはもう随分前の事。夕刻の列車が着き機回しをすると其の残り陽に向かい喜多方へと帰ってしまう。
見送ると夕景。
親切な駅員さんは駅泊を許してくれた。
70リットルのザックを担ぎしばらくのあいだ大峠へと向かう駅の表の街道筋をウロウロとする。車は滅多に来ない。高校生だったが近くの自販機でビールを買い持っていたサンマのかば焼きの缶詰で一杯。後は昼に買った食パンをかじれば夕食は終わり。何もすることは無い・・・。
ノイズ交じりのトランジスタラジオから何処ぞのチームのナイターを遠くに聞く。
翌日。駅の脇の水道で顔を洗う。そして朝一番の汽車に揺られて喜多方へと戻る。ガタゴトガタゴト揺られる車内には夏の草いきれの匂いが床の油の匂いと混ざり合う。周遊券を持っていたのだが記念に車内検札でわざわざ補充券を発行してもらった。
思いっきり窓を開けたら夏の風・・。夏の風・・・。
線路がはがされて汽車の来ない廃線となった駅は地元の人によって大切に保存されている。ラッセルと茶色の客車も屋根付きの場所に置かれている。
駅の傍らに車を停めて43年前にうろうろした街道筋を歩いてみる。自販機は無くなっていた。
でもねあの頃の風が吹いていた。そうあの頃の風が吹いていたよ。
17歳だった自分に逢えた熱塩駅の夏休み。
2022年8月19日 会津 熱塩駅。
西に太陽が傾く頃、桧枝岐から続く道を登ってきた。金銭橋を渡り新潟県に入る。いい加減うんざりする様なうねうねと続く銀山湖沿いの道を行く。
本流から恋の又、中の又とボートを走らせた懐かしい風景が見え隠れする。
やがて荒沢岳の雪渓を遠望する。
定宿にしていた村杉が店じまいして3年か・・・。でも今日は懐かしい銀山平での一夜が待っている。
テントの傍らの椅子から見るぐるり360度の景色に違和感はない。
一献傾けよう。
去来する数々の想い出・・・。
2022年8月19日 魚沼地内。
沼沢湖のほとりの一夜。
なるほど会津柳津から登ってくる道は最後に湖に向かって坂を下る。
夜になると気温が下がり長袖を羽織る。
語らいの場はやがて静かになり星々に押しつぶされそうになる。
2022年8月18日 会津 沼沢湖。
お盆を過ぎると少しづつ虫の声が入れ替わる。
山の上からトンボが降りて来るともうすぐ空気が変わることを告げるよう。
稲穂はもう少し穂を伸ばす。
雨が降ったりやんだりの静かな駅にキハがやってきた。誰も乗らないし誰も降りない・・・。
さぁ自分はハンドルを捌いて会津に行こう。
2022年8月18日 只見線。