初雪。

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巻機山の麓。

昨日からの雨が、雪へと変わっていく。

今年初めての雪を手のひらに載せて見る。
水へと変化する一瞬。手の体温を奪って冬へ誘うかのように、
その隙間から零れ落ちた。

遠くで、雪おこしの雷が鳴った。

日中線。

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喜多方から熱塩までの客車の中、車内検札で補充券に鋏を入れてくれたのは若い車掌さんだった。

熱塩駅は、記念館となり残っていた。

傍らに客車が保存されていた。
ペンキを塗りなおしたばかりなのか、揮発性の塗料の匂いが
まだ残っているようだった。

夏草が生い茂る夏の日の夕暮れ。
蒸気機関車のブームが去った駅には、
虫の声と、時々そばを通る車の音だけがしていた。

茶色い客車から窓を開けた、昼間の草いきれと夏の夕方の匂いが混ざり合っていた。

秋。

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ハレの日、勤しむ人々。
ケの日、沈黙する。

ハンノキに掛けられた今年の実りが、秋の日を浴びて、
その湿度を天上に帰してゆく。
その山上からアキアカネが使者として舞う。

空と地と水。
今日ばかりは、ケを厭い、ハレに感謝して。

加茂の山ふところ。

カムイッシュ。

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神の住むところ。

夕どき、右手の山の先、日が落ちる。

山影は、蒼く沈む。

国立公園内で、繰り返される営み。
そんなことも知らずに、内地からの観光者。

観光者たる所業。そして、観光者を飲み込みむ所業。

風と共に静かに蔭ゆく・・・蒼き湖。

秋風が吹くと、すでに、その景色を思い出す。

誇り。

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北海道の十勝平野を旅した頃。

河岸段丘の畑を見下ろすその場所で、民間委託され自家用車で郵便配達をするひとりのおばさんに会った。

挨拶を交わし、また次の配達先に向かうおばさん。小一時間もした頃、また、過のおばさんが坂道を上がってきた。
下の町でわざわざ自分のために弁当やらジュースを買ってきてくれた。

ひとしきり、都会に出て行った息子の話などをする中、おばさんが言った一言。
『ここから見る景色はいちばんよ。季節の移り変わりや、朝な夕なに見るここが好きなのよ』
『ここが自慢なのよ』、と。

誇り高く生きている人がそこには居た。
何気ない景色の中に。

夕暮れを前に、河岸段丘を見下ろす。

会津の先生。

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秩父困民党のことを知ったのは今から25年ほど前のこと。

大河ドラマで、戊辰戦争の生き残りとされ登場する”会津の先生”。
実在したかというと名前も明らかではないが、確かに会津から来た人物がいたそうだ。

自由民権の旗印の下、関東一斉蜂起を夢見て散っていった人々。
新式村田銃の洗礼を受け遠く信州の地で果て、
その後遠く北海道の地まで下った人もいたという。

会津鶴ヶ城の容保公の肖像写真を見るたび想う。
果たして、望みは何であったのかと。
時代こそ過ぎたが、おそらく、秩父の人々とどこか同じ思いではなかったのかと。

その頃、会津を旅したとき、ふと立ち寄った田舎の雑貨屋で、米や味噌を頂き野宿し続けたことを思い出した。
素朴な中に強さを秘めた人だったように記憶する。

旅の途中、会津川口駅で汽車を降りたのは遠い昔。

復興。

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あれから2年になろうとしている。

先日、国道291号線が全線開通した。
いたるところ工事だ。丘陵地から眺める工事現場は、谷底のダム建設のように見える。
真新しい道路標識も、ほとんどが通行止めとなっている。
いつになったら、静かな昔に戻るのだろう。

山古志の土砂崩れダムを見下ろす。