黄昏の頃。

この時はまず大宮を発ち小出へ、只見線へ乗り換え会津大塩駅で野宿。次の日は会津若松、喜多方そして此処熱塩だったように記憶する。列車に揺られながら小さなメモに次に来た時のための撮影場所などを記録していたのだが今となってはそのメモは何処へ行ったのか・・。それでも特徴のある山のかたちや鉄橋、切り通しなどはその後の旅や撮影の折記憶の片隅から引っ張り出すとまるでカンニングペーパーを作っているうちに妙に記憶されて覚えてしまっているかの如くメモは要らなかったりもした。

熱塩駅は何年か前に旅の途中に寄ったことがある。蒸気機関車当時の写真や駅名標などが展示され、構内にはラッセルや茶色の客車が・・・。

あぁあそこから撮ったんだよなぁ・・。

そうそうホームはこんなだったっけ・・。

小さな駅は人の声もしないしディーゼルの匂いも何にも無い・・。

そうだ、今、夕暮れの駅から喜多方へ向かう車内のニスの匂いを想い出した・・・。

1980年7月   日中線。

日中線。

1974年の無煙化により蒸気機関車からディーゼル機関車。

貨物と客車の混合編成を見たのはこれが最後だったように記憶する。機回しをするディーゼル。長閑な山の麓の駅だった。

それでもこの後1984年まで線路は残ったのだったがこの一回限りの訪問だった。

1980年7月   日中線。