緑濃くなり。

山道を登ってきた木陰には薫風かおる涼風。

その濃くなる緑とは対照に風がさわやかに感じられるのは今日は湿度が低いからなのだろう。

この辺りは新田と名の付くところが多い。地図を見るとため池の多いことでも分かるが山間地の割合高いところまで田んぼマークがある。俯瞰撮影に行くとそういったところのあちこちに耕作放棄となった休耕田を見ることがある。特に耕作を止めて数年であろうと思われる休耕田のなんと多いことか。

新田はやがて緑濃い山に帰ってゆくのか・・。新田だったのに・・・。

2020年6月10日   只見線。

春から夏へ・・。

田植えが終わり青稲がすくすく育つ頃。田植えをした順番が分かるだろう。その微妙な配色がなんとも言えないグラデーションとなって季節を演じている。

もう少しすると一面の緑になるのだろう。そしてやがて迎えるであろう黄金の季節へ。そうしたらまた真っ白な季節へも。

繰り返し繰り返しこの地で生きていく限り。

2020年6月10日   只見線。

只見川に沿って。

瀬からトロ場へと向かう此処。木から落ちた少し大きめの昆虫・・蝉のようだが・・。暫くすると魚が飛び出してきた。

波紋が落ち着くと何事もなかったかのようにまた深いトロの色に戻ってしまった。

キハがエンジンの唸りを上げて鉄橋を渡り通り過ぎて行く。

そしてまた何事もなかったかのように深い緑色を残して。

ミソサザイだろうか・・・初夏から夏への季節の移り変わりを歌っているかのような忙しい声を後にして岸辺へと戻った。

2020年6月10日   只見線。

朝一番の汽笛。

集落にある小駅から朝の一番列車が下ってくる。その小さな歩廊は此処からは見えない。ただ山陰から発車の汽笛がこだまする。

遠く耳をすませば鳥たちのさえずりと共にレールを渡るかすかな響きまでもこだまして。

今日は暑くなりそうだ・・。

2020年6月10日   只見線。

越後駒ケ岳と中ノ岳。

駒ヶ岳へ登ったのは何年前だったか、枝折峠から頂上へ帰りは途中銀の道から銀山平へ、定宿だった村杉に着いた時のビールがなんとうまかったことか。

中ノ岳へは十字峡から丹後山経由での計画が途中で頓挫し結局登れずじまい、まさに遥かなる山のままだ。

俯瞰撮影で魚沼の地を訪れるとついついそれら峰々を眼で追ってしまうのはそこに色々な想い出があるからなのだろう・・・。

田植えが済んだ魚沼の地。風に乗ってタイフォンの一声が此処まで聞こえてきた。そして山の呼び声も・・・。

2020年6月9日   只見線。

集落を後にして。

いくつもの集落を縫うようにしてやがて山間地へと向かう気動車。

西日が傾く頃それぞれの家では夕餉の支度か・・・。

「ほれ・・列車が行ったすけそろそろまんまの支度だこって・・・」そんな会話が交わされてるいるのかも。

家路に急ぐ人々を乗せるキハを見送り。

2020年6月9日   只見線。