733Mを想い出した。

115系の0番台の窓枠から粉雪が舞い込む。ガラガラのボックスのシートを少しずらしてコの字になって寝ている顔にパラパラと。

新清水トンネルを抜けると特急退避だかで暫し停車。駅名標が綿帽子を被りタングステンの灯りにボゥとそこだけが明るかった。

使われなくなったホームにその駅名標。もうボゥと灯りが燈ることは無い。

来るときに自分がつけた足跡が少し白くなっている。ほかに足跡も無ければ人の声も聞こえない。

跨線橋を渡り待合室に戻ると小さな部屋は寒々としている。自動販売機のコンプレッサーの音だけが時折りウーンと唸る。

ガラガラと扉を開け消雪パイプの水をよけながら車へと戻った。

2020年2月18日   上越線。