特急、越後路を下る。

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もうすぐ雪に変わろうか。

冬の時雨時。

 

特急が下ってゆく。

まるであの頃と同じように。

 

エンジとクリームの余韻は、軽やかなモーター音と車輪の響きを残して通り過ぎる。

 

 

2009年12月16日               石打~大沢。

 

宮浜、俯瞰。

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冬の宮浜。

 

前の年から16号バイパスの工事が始まったように記憶している。

このときはまだ橋脚の工事が始まったばかり。

工事が休みなのをいいことに、工事用足場に登って撮ったのがこのカット。

足元がすくみ、僅か数カットを撮って退散したのを覚えている。

ちなみに機番はラストナンバー175番。

 

 

1979年1月                東大宮~蓮田。

 

EF58で宮浜、雑木林と冬の陽の下。

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武蔵野の風景とは、霜柱とからっかぜの中で宮浜にいるということ。

 

霜柱が解けて靴に泥がつき、そこいらの枯れ枝を拾って泥をぬぐう。

なけなしのお金で温かい飲み物を買う。

 

手袋をはめて自転車を漕いでさぁ次のポイントまでひとっ走り。

 

 

1979年1月          東大宮~蓮田。

 

冬がそこまでやってきている。

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杉木立の中は枯れ草と茶色くなった杉の葉のにおい。

 

雪が降ると、たくさんの葉っぱは細い枝と共に雪の重みに耐え切れずに、

杉の木の下の雪の上をまた茶色くする。

 

 

もうすぐそんな季節。

 

過ぎ行く季節に戸惑いを感じ、来る季節に思いを馳せるのはいつものこと。

いよいよ天気予報に雪マークが出た。

 

 

2009年12月10日         岩原スキー場前~越後中里。

 

大宮駅の夜。

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師走にはもう少し時間がある頃。

 

この夜は自分ひとり。

たまに酔っ払いのおじさんが何事かと近くまで来ることはあっても、一瞥されてただそれっきり。

電車を待ってる少女のスカートの長さが時代をものがたる。

 

 

良い夜だったな。

静かで。

駅のアナウンスが今にも聞こえてきそう。

 

 

1978年12月       大宮駅。

 

東北ローカル。

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宇都宮から北の東北線を当時「ローカル」と呼んでいた。

 

雑客が無くなってからの訪問だった。

 

蒲須坂の鉄橋・・・。

どうも利根川水系と違い那珂川水系には縁が無かったようで

ピンとこない鉄橋だった。

 

 

1978年10月     蒲須坂~片岡。

 

祈る。

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夕暮れを前に名残のすすきの向こうに列車が行く。

 

手を合わせ慈しみを持って、やがて来る夜を前に、今日一日が安堵できたかと

語りかけていらっしゃる。

「はい、おかげさまで」 と頷く自分は、頭を垂れ合掌。

 

足元を冷たい風が通り過ぎる。

 

 

2009年12月6日      越後湯沢~石打。

 

白い服の少年。

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よく見ると白い上着で半ズボンの少年がデッキから身を乗り出している。

 

東北線の普通列車から客車が無くなる頃。

たぶん彼も鉄道ファンだったのだろう。

 

すれ違いざまに顔を見た気もするのだけれど、それは思い出せない。

 

まだ彼は鉄道ファンだろうか。

たとえ止めてしまっていたとしても、デッキに乗ったことは覚えているに違いない。

 

大宮駅でカメラを構えていた、ちょっと上のお兄さんは、今年、鉄道ファンに帰ってきたよ。

 

誰だかわからないが

「こんにちは」「元気かい」。

 

 

1978年10月      大宮駅。