夕闇迫る頃。

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秋の日はつるべおとし。

 

あの夏の日にはまだ太陽が西に傾きはすれ、夕方の訪れの中それでも輝いていた。

四季の移り変わりといってしまえばそれまでだが、やっぱり秋は心が震える。

 

震えた心は、沈丁花のにほいと共に、初恋の頃を思い出す。

彼女と帰った道すがら、自転車のライトの発電機をヒュンヒュン鳴らして・・・。

ススキの穂・・・雑木林を通り過ぎ・・・。

 

 

2009年10月16日      岩原スキー場前~越後中里。

 

残照の停車場に貨物が通り過ぎる。

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残照の中、国境の停車場に風が吹く。

鉄の擦れた匂いが通り過ぎる。

 

無人となった駅の待合室には、国境を越え茂倉新道を降りてきた登山者がひとり。

「良い山でしたと」満足そうに今日の一日を振り返り余韻に浸っていた。

眼をつむった彼のなか、念想はまだ山を駆け廻っているかのようだった。

 

「良い山旅を・・・さようなら」

 

さぁ、カメラを片付け、野宿でひとり一杯やろう。

 

 

2009年10月16日       土樽駅。