太陽を背負い北上する。
武蔵野の雑木林の昼下がり。
東海道で特急を牽き、上越で雪にまみれ、今、武蔵野の地を疾走する。
上野から大宮へそして黒磯へ。今はそこが北限。
上越だったら、東海道だったらもっと遠くに行けるのに・・・。
雑木林や田圃を左右に見てその道をいつものように通う彼等。
もう間も無く終焉のときを迎えるであろう彼等。
相模灘の夕日や谷川岳の残雪を眺めたあの頃が去来し眼に浮かんでいるのだろう。
夏の日の草いきれが今の匂い。
1976年8月 東大宮~蓮田。