道。

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中越地震からの復旧なった高速道路。仮復旧時の片側通行が、うんと前に感じる。

道路はうねり、段差が続き、側壁が落ち、路肩は崩れ、看板が傾いていた。

改めてそれを思いながら走るいつもの道。
感謝しなければならないな。

今日も越後三山が優しく出迎えてくれた。

雪道。

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越後川口から飯山へと抜ける国道117号。
折りしも、冬へ逆戻りしたかのよう。

地震があったあの日、発生数時間前に、
くしくも震源地を訪れていた。

『早く春よ来い』、と思う心。
アスファルトのグレーを『白』が包み隠す。

バックミラーにわずかな轍が線となる。
春間近。

百鬼園先生。

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大きな、飛んでも無い大きなソナタを、この急行列車が
走りながら演奏している。
線路が東京から新潟に跨る巨大な楽器の弦である。
清水隧道のある清水峠はその弦を支えた駒である。
雄揮無比な旋律を奏しながら走って行く。
レールの切れ目を刻む音にアクセントがある。
乗客はその迫力に牽かれて、座席に揺られながら
みんなで呼吸を合わせている様に思う。

内田百閒
「雪中新潟阿房列車より」

時間を気にせずして旅を楽しむ。
出来れば最低半日ぐらいは列車に乗っていたい。
便利なことは良いけれど飄々と漂う時間も必要です。
いろいろなことを考えながら。

雪の少ない雪国への車内にて。

粥仁田峠。

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本営が瓦解した中、丙大隊長、落合寅市が
「進め進め」の掛け声の中、小川口へと越えていったところ
粥仁田峠。

夕方、釜伏峠から遠く両神山へ沈む夕日を見た。
このとうげの麓は、大野苗吉の出身地でもある。

粥仁田峠近くでテントを張り夜を明かした。
満天の星。
大宮郷と呼ばれた秩父の街の灯りが瞬いている。

困民党への想いが
駆け上がってきた冷気と混ざり合った。

東京と新潟。

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先日、熊谷から東京へ。
熊谷では一面の霜、もちろん東京は晴れていた。

スキーが盛んな頃、上野へと向かう満員の鈍行列車の中、
お互いの感情が決して穏やかではない車内でのこと。

分水嶺のトンネルを越え、暗澹たる景色から青空の下へ
さらされた瞬間、さっきまでの一体感のない車内に
陽の光が射し込み歓声が上がった。

人の気持ちは案外そんなものかなと思った。
しかめっ面していた自分が恥ずかしくなった。
16歳の頃。

今更ながら東京の空もまんざら捨てたもんじゃない。
なんて思った。

初雪。

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巻機山の麓。

昨日からの雨が、雪へと変わっていく。

今年初めての雪を手のひらに載せて見る。
水へと変化する一瞬。手の体温を奪って冬へ誘うかのように、
その隙間から零れ落ちた。

遠くで、雪おこしの雷が鳴った。